• 192 中勘助 銀の匙 120(後編7⑦) @ LeoN Radio 我らの文学

  • Nov 14 2024
  • Length: 37 mins
  • Podcast

192 中勘助 銀の匙 120(後編7⑦) @ LeoN Radio 我らの文学

  • Summary

  • ラジオ収録2024001030

    「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)


    ある日のことまたそんなにして川のなかに立つてたとき私は足もとにあるまつ白な石を拾はうとして身をかがめた。それを兄はぢきに見つけて

    「なにする」といつた。「石をひろふんです」

    「ばか」私はもういつものやうに恐れなかつた。こなひだから考へて考へて考へぬいてある。

    <身をかがめる→身体を前に折り曲げて低い姿勢をとること。ぢきに→すぐに。ひろふんです→拾(ひろ)うんです>

    有一天,我们又这样站在河里。我蹲下身子,打算捡起脚边一颗洁白的石子,

    立刻被哥哥抓到。

    “你在干吗?”他说。

    “我在捡石子。”我回答。

    “笨蛋。”

    这次我没有像往常那样害怕。这段日子以来,我已经想了又想,想清楚了。


    「兄さん」 私は後ろからしづかに呼びかけた。

    「兄さんが魚をとるのに僕はなぜ石をひろつちやわるいんです」

    兄は「生意気いふな」と怒鳴りつけた。私は冷かに笑つてまともに兄の顔を見つめながら「僕のいふことがちがつてるなら教へてください」

    <生意気(なまいき)→たいしたことないにもかかわらず、偉そうにすること。>

    “哥哥,”我在他身后冷静地说,“你可以钓鱼,我为什么不能捡石子?”

    “少来劲!”哥哥怒吼。

    我冷冷地笑着,认真地盯着哥哥的脸:

    “如果我说得不对,请你指正。”


    兄は「殴るぞ」といつて手をあげた。私は黙つて垂れさがつた枝のさきにびくをかけ崖をあがつて帰りかけたが、うす暗い木の蔭にこごんでるのを見ると急に気の毒になり あんなにいふけれどきつとやつぱし寂しいんだらう とおもつて岸のうへから一所懸命によんだ。「兄さん、兄さん、居てあげませうか」 兄は知らん顔して網をそろへてゐる。

    <屈(こご)んでる→膝を曲げて腰を落とすこと、しゃがむこと。やっぱし→やっぱり>

    “你找打!”哥哥说着扬起手来。我默默地将鱼篓挂在一根垂下来的树枝上,

    打算爬上山崖回家,可看到他弯着身子蹲在昏暗的树荫里,忽然觉得心疼,心想尽

    管他说那么重的话,可到底还是因为寂寞吧。于是我站在岸上,拼命地喊:

    “哥哥,哥哥,我留下来陪你吧?”

    可哥哥装作没听见一样收紧渔网。

    「さやうなら」 私は丁寧に帽子をとつてひとりで家へ帰つた。それからは私たちは決していつしよに出かけなかつた。

    “再见。” 我礼貌地脱下帽子,和他打过招呼便一个人回家了。

    自此以后,我们再也没有一起出过门。



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