• この春、静かに語られなかった「80年談話」

  • Mar 28 2025
  • Duración: 13 m
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この春、静かに語られなかった「80年談話」

  • Resumen

  • 🔶【“謝罪を続ける宿命”を超えて──戦後80年談話を巡る思索】ある朝、宮脇利充さんはいつものように新聞を開いていて、一つの記事に目が留まりました。見出しには、**「石破内閣、戦後80年談話を見送り」**とあります。「へえ、そうなんだ」と読み進めながら、やはり複雑な思いがわいてきたそうです。「戦後80年というのは、被爆からも80年。日本が核兵器や戦争について、もう一度明確に言葉にする節目の年だと思うんです」この節目に、首相としての公式談話を出さない。もちろん、談話というのは“出すことが義務”ではありません。でも、だからこそ、出さないという選択には意味が宿ってしまう。宮脇さんは、少し残念そうな表情で語ります。 🔶「語らない」という選択が示すもの歴代の政権では、10年ごとに“首相談話”が発表されてきました。1995年の村山富市内閣、2005年の小泉純一郎内閣、2015年の安倍晋三内閣──。特に安倍首相の談話は、これまでの流れとはやや異なるものでした。「自分の代で、10年ごとに繰り返されるこの“謝罪の談話”を終わらせたい」という思いがあったと言われています。その真意を知るために、宮脇さんが手に取ったのが、船橋洋一著『宿命の子 安倍晋三政権クロニクル』。文藝春秋から上下巻で出版されたこの本には、あの戦後70年談話がどのようにして練られ、どれほど多くの人々の手を経て形になったのかが、丹念に描かれています。 🔶自分の言葉か、閣議決定かそもそも安倍さんは最初、「閣議決定」という手続きを避けて、自分個人の言葉として談話を出したいと考えていたそうです。「けれども、それには何の意味があるのか?」と政務秘書官の今井尚哉氏や、当時官房長官だった菅義偉氏に諭され、最終的に閣議決定の形をとることに。つまり、「個の想い」からスタートして、「国としての立場」に着地するまでに、多くの葛藤と調整があったのです。 🔶言わない自由と、表現の工夫たとえば、それまでの村山・小泉談話では「我が国は侵略した」とはっきり明記されていました。しかし安倍談話では、主語が消え、『事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない』と一般論のように語られます。また、お詫びの言葉も、「歴代内閣の立場は揺るぎない」と記述されるのみで、あらためて自らが謝罪する表現は避けられています。「そういった意味で、“言いたくないことは言わない”。でも、どう伝えるかにはものすごく工夫がされていたんですね」と宮脇さん。 🔶談話を支えた、数多くの声この談話づくりには、実に多くの人たちが関わっていました。政治学者の北岡伸一氏をはじめとする有識者会議、元読売新聞主筆の渡邉恒雄氏(ナベツネ)や、アメリカ大使キャロライン・ケネディ氏の意見も反映されているといいます。たとえば、「深く頭を垂れ、哀悼の意を表する」という一文は、ナベツネ氏のアドバイスによるもの。また、慰安婦問題への言及は、女性の人権への言及として、慎重に表現されています。 🔶“宿命”をどう引き受けるのかそんな中、心に残る一文があります。「私たちの子や孫、さらにその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」この言葉は、安倍さんが一番伝えたかったことかもしれません。そして続けてこうも書かれています。「しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」つまり、“謝罪を終わりにしたい”という想いと、“それでも歴史と向き合う覚悟”が、同時に存在していたということなのです。 そして、今──今、石破首相が戦後80年談話の発表を見送ることは、「語らない」という選択をすることです。「石破さんが、安倍談話に違和感を持っていたのであればこそ、自らの言葉で語ってほしかった。党内基盤が弱くて発表できないというのは、とても悔しい話だなと思います」宮脇さんはそう語ります。戦後という時間の中で、どの言葉を選び、どこまで語るのか──それは、政権...
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